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by funamotomegane
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マルヴィッツ W587 (アンティーク)/ ツァイス・マルヴィッツ

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アンティーク・ローデンストックをお探しのお客様に、
同じ6~70年代のドイツ製のフレームとして、
ご紹介申し上げたところ、
お気に召していただけて、お買いあげいただきました。

マルヴィッツ社は、ローデンストックと比べて、
知名度では少し及ばないかもしれませんが、
カール・ツァイス社のフレーム部門のブランドで、
高品質のフレームを手仕事で作るメーカーでした。

この画像のフレームも仕上げに軽く磨いただけで、
とても半世紀近く経ったフレームとは思えない、
素晴らしい艶と輝きを保っています。
もちろん、品質、機能ともに問題なくお使いいただけます。

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この時代のメガネは、ガラスレンズが主流でしたので、
レンズ止めのネジがゆるみレンズが脱落しないように、
さまざまな工夫がなされていました。

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たとえば、「レンズ止めネジ固定ネジ」、
通称「ノミネジ」です。

小さなネジをレンズ止めネジに垂直に締め付けて、
レンズ止めネジの緩みを防ぎます。

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このネジを締めるドライバーは、
そのサイズが、0.5mm。
シャープペンシルの芯ほどしかありません。

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ちなみに、この4本のドライバーは、
単に比較のためだけでなく、
このメガネを加工するのに使用したものです。

さらに、ブローと呼ぶパーツにも工夫があって、
仮にレンズ止めネジがゆるんだとしても、
決して脱落することのないように、
ブローが、レンズ止めネジを覆い隠します。

そのおかげで、ネジがゆるんでレンズが落ちて、
割れてしまうというトラブルが防げました。

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実は、このタイプのフレームは、レンズをはめるたびに、
ほとんど完全に分解し、そしてまた再び組み立てるように、
丁寧に加工しなければなりません。

眼鏡技術者が、それらの作業を嫌がって廃れた方式、
とは、考えたくありませんが、
最近ではめったに見なくなった方式ではあります。



こちらのお客様には、とても喜んでいただけて、
望外のお褒めの言葉もちょうだいしました。

父は、店内にメガネの歴史のささやかな展示を考えて、
後世に残したい高品質なフレームを集めていたようです。

小さな店舗なのでそれはまだかなっていませんが、
私も父のコレクションを大切にしたいと思っています。

とはいえ、メガネはやはり「ツール」でもあります。
お使いいただいてこその「道具」です。

父のコレクションのなかの1本が、
「本物」の良さをご理解いただけるお客様に
お求めいただけたのは、メガネ屋冥利に尽きます。


(H)
by funamotomegane | 2010-10-29 17:47 | フレームのお話