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by funamotomegane
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偏心のお話

最近のフレームは小ぶりなものが多くなりましたが、
それでも、度数によってはレンズの生地が足らず、
メーカーに「偏心」というオーダーをかけることがあります。

たとえば、基本的なレンズは、+3.50あたりを境に、
直径が60mmになります。
これは、かなり制限のある直径です。



偏心のお話_e0153425_172364.jpg

(S-0.25Dの直径=75mm)



偏心のお話_e0153425_173519.jpg

(S+3.00Dの直系=65mm)



偏心のお話_e0153425_1732062.jpg

(S+3.50Dの直系=60mm)

具体的には、昔からお使いいただいていた、
大きめの玉型のフレームを、
読書専用にレンズの入れ替えをご注文いただいたとき、
多くの場合、レンズの生地(直径)が足りません。

レンズには、理想の屈折を得る、光学中心があり、
通常、レンズ生地の幾何学中心、つまり、
レンズの「ど真ん中」に設定されます。

また、ほとんどの場合、おかけいただいた時の眼の中心は、
フレーム玉型の中心より内側にありますから、
ただ単純にレンズ生地を削ると、眼に合いません。

特に、読書用の眼の中心は、輻輳(寄り目)状態ですから、
遠方用の瞳孔間距離よりもせまくなり、
レンズの中心もより大きくずらす必要があります。

すると、耳側で、レンズの生地が足らなくなります。

そうならないように、あらかじめレンズの光学中心を
幾何学中心からずらして研磨することを「偏心」と言います。


偏心のお話_e0153425_1735528.jpg

この場合、レンズの光学中心を
向かって右側に3mm「偏心」してあります。

これでようやく、
お客様のデータがフレームに正しく再現できます。

偏心のお話_e0153425_1741651.jpg




ワンコインで「老眼鏡のようなもの」が手に入るご時世ですが、
実は、メガネをちゃんと作るということは、大変な作業で、
それは、安易に考えがちな老眼鏡でも同じことです。
むしろ、老眼鏡の方が、レンズやフレームの制限があります。

既製品の老眼鏡やいいかげんなメガネは、
その場は見えたように思っても、
本当はじわじわと身体に負担を強いる、怖いものなのです。

厚生労働省に、その認識があるのか疑問です。

世の中の経済原則はともかく、
メガネは、価格で選ぶものではありません。

慢性化している眼精疲労や肩こりが、
実は、合わないメガネが原因と言うこともよくあります。

お買い求めいただくかどうかはともかく、
お気軽にフナモトにご相談ください。

フナモトメガネは皆様の
「メガネのホームドクター」でありたいと思っています。




(H)
by funamotomegane | 2011-09-26 17:05 | レンズのお話