加工室の風景
2015年 09月 26日
手摺りの加工機がずらりと並ぶ加工室。
もちろん、最新の機械もありますが、
基本は手摺りです。
私も現役時代、丸いレンズを正方形に仕上げ、
4面どこでも安定して立てることができるよう、
徹底的に仕込まれました。
整然と並んだ箱。
カギ箱といいます。
ガラスレンズをレンズカッターで切った後、
手摺り仕上げの前に切断面を整える器具です。
力の入れ方を誤ると、ピンッと割れてしまいます。
ときには、怪我もします。
箱の中は、この通り。
切断されたレンズ片と
カギ落とされたレンズの粉でいっぱい。
このレンズの破片は、
工場で溶かされ再生されます。
フィッティングやプラスチックフレームの加工、調整には、
温風機を使います。
昔は、電熱器も使ったので、
加工室でもちょくちょく発火していました。w
温風機だからといって、
油断は禁物。
そうそう、多目的教室には、
レンズメーターが並んでいます。
望遠鏡式のいわゆるアナログです。
現在の眼鏡店や医療現場で使われているのは、
ほとんどがデジタルレンズメーターでしょう。
デジタルメーターは、速く、確かに正確ですが、
いわばブラックボックス。
光学がわかっていなければ、
ただ、データに振り回されるだけです。
アナログでピントを合わせることで、
光学の基礎もたたき込みます。
そうすることで、眼鏡技術者に必要なスキルが、
確実に身に付きます。
いまどきめったに見ないガラスレンズ。
全自動加工機全盛のご時世に手摺りの特訓。
手前味噌ですが、アナログな、一見、時代遅れな、
この過程を学んだ技術者こそ、
本当の「眼鏡屋」になれると思っています。
誰もいない加工室で、30年前を思い出し、
つい、熱く語ってしまいました。
おまけ。
バルタン星人にも寛大です。