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by funamotomegane
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加工室の風景

加工室の風景_e0153425_0441790.jpg


手摺りの加工機がずらりと並ぶ加工室。

加工室の風景_e0153425_0445985.jpg


もちろん、最新の機械もありますが、

基本は手摺りです。

私も現役時代、丸いレンズを正方形に仕上げ、
4面どこでも安定して立てることができるよう、
徹底的に仕込まれました。

整然と並んだ箱。

加工室の風景_e0153425_0455578.jpg


カギ箱といいます。

ガラスレンズをレンズカッターで切った後、
手摺り仕上げの前に切断面を整える器具です。

力の入れ方を誤ると、ピンッと割れてしまいます。
ときには、怪我もします。

箱の中は、この通り。

加工室の風景_e0153425_0465768.jpg


切断されたレンズ片と
カギ落とされたレンズの粉でいっぱい。

このレンズの破片は、
工場で溶かされ再生されます。

フィッティングやプラスチックフレームの加工、調整には、
温風機を使います。

加工室の風景_e0153425_0504024.jpg


昔は、電熱器も使ったので、
加工室でもちょくちょく発火していました。w

温風機だからといって、
油断は禁物。

加工室の風景_e0153425_0514589.jpg


そうそう、多目的教室には、
レンズメーターが並んでいます。

加工室の風景_e0153425_0525799.jpg


望遠鏡式のいわゆるアナログです。

現在の眼鏡店や医療現場で使われているのは、
ほとんどがデジタルレンズメーターでしょう。

デジタルメーターは、速く、確かに正確ですが、
いわばブラックボックス。

光学がわかっていなければ、
ただ、データに振り回されるだけです。

アナログでピントを合わせることで、
光学の基礎もたたき込みます。

そうすることで、眼鏡技術者に必要なスキルが、
確実に身に付きます。

いまどきめったに見ないガラスレンズ。
全自動加工機全盛のご時世に手摺りの特訓。

手前味噌ですが、アナログな、一見、時代遅れな、
この過程を学んだ技術者こそ、
本当の「眼鏡屋」になれると思っています。

誰もいない加工室で、30年前を思い出し、
つい、熱く語ってしまいました。


おまけ。

加工室の風景_e0153425_0535797.jpg


バルタン星人にも寛大です。
by funamotomegane | 2015-09-26 00:54 | 眼鏡学校